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クリスマスケーキ

唐突にクリスマスケーキですが、何を思い出しますか。私は年末の賑やかで、華やかな商店街をイメージしますが「昭和」でしょうか。昭和ついでに申し上げると昔のOL(これも死語ですか?)を思い出すこともあります。なぜでしょうか。

ご存知クリスマスケーキはクリスマスイブが最も需要が高い商品です。クリスマスイブといえば12月24日の夜ですよね。(クリスマスイブの正確な定義はここでは触れないでおきましょう)つまり25日になると、なまものなので早くもディスカウントが始まり、26日には叩き売り状態になるのが通例です。これになんとOL(オフィスレディ、つまり女子社員)をかけていたのです。

OLの多くは腰掛け就職であり、高卒や短大卒が多く(当時結婚適齢期であった)25歳前には多くの女性が寿退職をするという”一般常識”が罷り通っていた時代があったのです。寿退職というのは結婚を理由に退職するということです。現在では信じられないことがほんの数十年前には”常識”だったのです。それで25でも売れ残っているOLのことを「クリスマスケーキ」と揶揄していたわけです。玉の輿なんて言葉もありました。今はまったく持って、そんな風習はありません。もしあったら典型的なモラハラ、セクハラとなるでしょう。もちろん「時代」と言えばその通りなのですが、働き方や、ジェンダー平等、少子化、終身雇用の崩壊などが主な理由で「クリスマスケーキ」はなくなったのです。

一方ではこの失われた30年を通して、日本社会全体は良くなったのでしょうか。ガバナンス、コンプライアンスのシュプレヒコールの下に「事なかれ主義」が蔓延しているのではないでしょうか。私たちはクリスマスケーキを食べてもいいし、おにぎりを食べてもいい、好き嫌いや嗜好について自由に感じて、それを追求する姿勢がもっとあってもいいと思います。大切なのは他人を傷つけないこと。ステレオタイプの生き方から脱却することです。