転職回数の多い人でも新卒で就職した会社の思い出は強いのではないかと思います。学生時代とのギャップを感じる場所でもあったし、初めて金銭的な報酬を得る方もいたのではないでしょうか。私の場合は学生時代にアルバイトでそこそこ稼いでいましたので、一番の印象は「時間に縛られること」でした。遅刻、欠勤についてはとにかくうるさくて、一方成果や実績についてはほとんど不問でした。おそらく数十年前の新卒の働き方はほとんどそんな感じだったのではないでしょうか。
朝は9時始業で「新人は30分前には出社して掃除しろ」という慣習でした。疑問も持たずに新人だからという理由だけでまかり通っていたのが、不思議な感じでもありました。もっとも徒弟制度っぽく終身雇用前提の時代であったのだから、当然の風潮であったのかもしれません。その他、お茶出しは女性の仕事でしたし、宴会では新人が芸をするのも今では考えられないことではないでしょうか。
今回最もフォーカスしたいのが、新卒で着任した職種がその後の人生において大きな影響を及ぼすという事です。例えば経理部に配属された場合、その後転職しても経理の仕事をすることが多いと思います。そうでなくても建設業に就職したらその後も建設やら不動産の類似企業に転身することも多いのではないでしょうか。
人生は他人や組織との出会いと付き合いです。新卒で経験してことは、その後脈々と職業にも影響を及ぼすわけです。転職はしても、元の同僚と付き合いが続けば自ずから職種も絞られてくるわけです。いや職種というより業界でしょうか。是非ではなく、この傾向を捉えるだけでも「人とのつながり」の重要性が見えてくるのではありませんか。